
変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないようにしたいですよね。
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士がこすれあうことで炎症が起こり、痛みを伴う病気です。そして、悪化すると日常生活にも支障をきたします。
今回は、変形性股関節症を悪化させないために気をつけることを紹介します。
変形性股関節症になったら気をつけることとは?
変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。
そのため、変形性股関節症の悪化を防ぐために、気をつけることがあります。
股関節に負担がかからないようにする
変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も多くあります。
しかし、歩いたり階段を上ったりするような日常動作を送るだけでも、股関節には負担がかかっています。
また、股関節の骨と骨の間に存在し、衝撃を吸収したり、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしている軟骨は、加齢だけでなく、関節を使うことで徐々にすり減ってしまいます。
そのため、変形性股関節症では、日常生活を工夫して、股関節に負担がかからないように気をつけることが大切です。
なるべく安静にする
重いものを持つのを避けたり、腰をかがめる動作を減らすなど、できるだけ安静にすることで関節への負担が減り、変形性股関節症の進行を遅らせることができます。
ゆっくり歩く/長時間歩き続けない
変形性股関節症と診断された場合は、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないようにゆっくり歩く、また、連続して長時間歩くのを避けるようにしましょう。
変形性股関節症は軽度の運動でも気をつけることがある!
変形性股関節症の初期の治療では、軽度の運動が推奨されます。
筋肉をつけることで股関節の動きをサポートし、股関節の位置を正しい位置に矯正することで痛みの緩和が期待できます。
しかし、変形性股関節症の人が運動するときには、軽度の運動であっても気をつけることがあります。
15分以上の運動は控える
15分以上の連続した運動は筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうので控えるようにしましょう。
痛みを感じるような運動は控える
筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうこともあるので無理のない範囲で運動するようにしましょう。
肥満を解消する
普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。
そのため、変形性股関節症の人が気をつけることの1つとして、肥満解消や体重コントロールも挙げられます。
肥満を改善するための食生活とは?
中高年になって基礎代謝が落ちてくると、より体重管理が難しくなります。
運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しも必要です。
変形性股関節症の人が、食事で気をつけることとは、とにかく食べ過ぎないことと、栄養バランスよく食べることです。夕食は、寝る2~3時間以上前には済ませるようにしましょう。
また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防止できます。
食事内容のバランスにも気をつけてください。
脂っこい食事を避けて緑黄色野菜を多めに摂る、筋肉のもとになるたんぱく質もきちんと食べるようにしましょう。
無理に股関節を動かさない
変形性股関節症では適度な運動は推奨されますが、無理に股関節を動かすと、症状が悪化してしまいます。
激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを用いた筋力トレーニングは関節に過度に負担がかかってしまうため、避けるようにしましょう。
変形性股関節症の人は、関節への負担が少ない、ウォーキングや水中歩行のようなスポーツをゆっくりおこなうなど、無理のないように気をつけることが必要です。
変形性股関節症と診断された人の家族が気をつけることとは?
変形性股関節症と診断された人の家族が気をつけることには、どのようなことがあるのでしょうか。
重いものを持たなくて済むようにサポートする
重いものを持つと関節に負担がかかりやすくなってしまいます。
また、重いものを持つために、腰をかがめる動作も股関節に負担がかかるため、変形性股関節症の人が荷物を持つときには、できるだけ家族がサポートしましょう。
痛みの管理のサポートをする
変形性股関節症では、痛み止めなどの内服薬も処方されます。
痛み止めのほか、副作用で胃が荒れてしまうのを予防するための胃薬や湿布のような外用薬など、数種類の薬が処方されることもあるため、薬の管理をサポートしましょう。
また、どのようなときに痛みが出たり、ひどくなったりするかの記録をつけることで、痛みの管理をすることもできます。
変形性股関節症の人だけでなく、周りの家族も一緒に気をつけることで、より症状の進行を遅らせ、痛みも改善し、より快適に過ごすことができるでしょう。
精神面でも支えになる
変形性股関節症の人は、症状が進むと動いていなくても痛みを感じる場合があります。
今までできていたことができなくなったり、トイレに行くにも不自由になり、ストレスを感じるようになる人もいます。
ですから、変形性股関節症の人の家族は、日常的な生活のサポートだけでなく、精神的な支えにもなるように気をつけることが必要です。
変形性股関節症の治療で気をつけることとは?
変形性股関節症の治療で気をつけることも確認しておきましょう。
本人や家族が満足・納得できる医療機関を見つける
変形性股関節症の治療では、薬物治療、運動療法、手術療法などさまざまな治療がおこなわれます。
手術療法を行う場合は入院が必要になりますが、どうしても仕事が忙しく時間がとれないなどの理由で手術を希望しない人もいます。
また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。
病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が満足できる、納得できる医療機関を見つけて治療を受けることが必要です。
意思や希望を主治医に伝える
変形性股関節症の人は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望も伝えておくと良いでしょう。
自分の望む治療がおこなわれないと、治療に対するモチベーションも下がってしまい、治療自体に影響が出ることもあります。
すぐに手術を受けたいのか、しばらくは薬で治療をしたいのか、飲み薬のほかに湿布薬や座薬も使いたいのかなど、医師にしっかり話をして、相談しながら治療をしていきましょう。
変形性股関節症には再生医療という治療法もある!
変形性股関節症の治療の選択肢のひとつに、再生医療という最新の治療法もあります。
今までの変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。
そのため、変形性股関節症では、日常生活においても股関節に負担がかからないように気をつけることが多くあり、痛みが出たら痛み止めを飲んで緩和しながら進行を遅らせるなど、精神面や痛みのコントロールもとても大変でした。
しかし、最近ではスポーツ選手なども選択している再生医療という治療方法が注目を浴びています。
再生医療とは、自分自身の幹細胞や血液成分を利用して治療をおこなう方法です。
個人差はあるものの、再生医療によって股関節の組織の修復を促すことで、変形性股関節症の痛みを改善する効果が期待できます。
そして、再生医療は自分自身の細胞を用いるため、アレルギーや副作用の心配も少なく、外科的な手術はおこなわないため、体への負担も少ないのがメリットです。
今までの治療で効果が感じられなくなってきた人や、どうしても手術をしたくない、手術ができない人などに、メリットの多い治療方法だと言えるでしょう。
まとめ
変形性股関節症の人が気をつけることについて紹介しました。
変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切で、安静や食生活の管理、適度な運動、また、家族のサポートも必要です。
今までの変形性股関節症の治療では、痛み止めを服用して痛みを緩和したり、手術をおこなう方法しかありませんでした。
しかし、近年注目を浴びている再生医療は、変形性股関節症の治療の選択肢にすることができます。
副作用が少なく、高い治療効果が期待できるので、変形性股関節症の治療方法を検討する際には、再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。
No.0001
監修:院長 坂本貞範